母の古い羽織と、主人の入院中にも拘わらず衝動買いした紅葉レースの塵除けコートの残り生地がコラボして完成した着物日傘。
着物日傘作家の柴田さまに会いに出掛けた奈良(
☆彡)を抜けて京都に向かい、夕食は1年8ヶ月ぶりの御料理はやしさん。
一時は四季ごとにお邪魔し、春は筍、夏は鮎、秋は松茸、冬はぐじのかぶら蒸しと足繁く通った御料理はやしさんを卒業すると宣言した主人。
思えばはやしさんにお邪魔する為だけにこちらのブライトンホテルを選んでいた訳ですから、ブライトンホテルでの宿泊も卒業が本当ならばこれが最後。
御料理はやしさんに向かう際、ロビーで撮っていただいた記念写真。
ブライトンホテル自慢のアトリウムロビーの四季折々の装飾が楽しみだったなぁ。
多分最後の宿泊、装飾は塵除けコートにぴったりな紅葉と“還暦雛”
最初はまともにお話することも出来なかった強面のはやしさん。
身を乗り出すほどお話が弾み、良い思い出のまま主人は御料理はやしさんを卒業致しました。
そして御料理はやしさんを卒業した主人(もちろん勝手に私たちがそう謳っているだけですよ)が最近夢中になっているのがこちらのお店。
三重県は桑名にあります、自称“田舎料理”の大和(だいわ)さん。
京都を発ち、お昼はこちらに陣取りました。
主人が予約したお料理は自然薯料理。
まるで自然薯の葉っぱのような細長いハート型をした天然木のテーブルに先ずは釘付け。
お部屋全体はこんな感じ。
大きな窓から見える首を垂れる稲穂、稲穂の黄金色を含んだようなやわらかな陽光。
高級感とは異なりますが、どこか田舎のお宅に通されたような趣です。
テーブルには自然薯と零余子のちょっとした説明書き。
零余子ってこういう字を書くのね。
地元の自然薯掘り名人が掘って届けるという天然の自然薯料理の始まりです。
不思議なことですが、何故かこちらでは運転手でなくてもお酒を飲む気にはなりません。
ビールグラスとお猪口は片付けて頂きましょう。
銀杏とゆり根。
お味噌で和えたゆり根を初めて頂きました。
これが抜群に美味しい。
我が家でも取り入れたいお料理です。
カリカリほくっつと揚がった零余子。
山かけの自然薯のねばり、力強さに驚くこと請け合い。
自然薯の照り焼き。
この美味しさ、泣いてしまいそうです。
そして鰻好きの私に、主人が是非と注文してくれたのが鰻の白焼き。
木曽三川うなぎって言うんですって。
運ばれてきた白焼きがこちら。
その美味しさ、へたり込みそうです。
とにかく焼き方がお見事。
主人、私には多めにくれるつもりでいたようですがちゃっかり半分お召し上がりました。
ほうば味噌焼き。
たっぷりの野菜の下には自然薯が潜んでおります。
お味噌が焦げやすいのでよく混ぜながら召し上がって下さいね、と。
牛肉の脂と絡んで艶々の焼き上がり。
主人のも艶々・・・つや?つや?
主人、『箸が汚れるばっかで上手く出来んわ!』
・・・短気な上に不器用な彼です。
ご飯を食べながら何をそんなに笑う?
お部屋の外まで私の笑い声が響いていたことでしょう。
大変失礼いたしました。
すっきりと葛切りの酢の物。
これが脇役と侮るなかれ、本当に美味しい。
お待ちかねのとろろご飯。
お漬物に至るまで手を抜かない丁寧なお料理です。
私、何故だかご飯に何かをかけるのがあまり得意ではありません。
なので自然薯ご飯も、麦ご飯を自然薯のとろろの器に少し入れて絡めては口に、といったパターン。
なのでこんな力技も叶うのです。
ほうば味噌焼きの残ったお味噌とご飯のコラボ。
ちょっと焦がした甘めのお味噌とご飯、主人、無理しないでひと口食べてみれば良かったのに。
デザートは桃源もち。
練り胡麻をたっぷり使った葛餅です。
これ、お家でも作ってみたい。
女性が拵える料理ってどこか分かるんですよね。
小さな床の間に飾られたお花、これも女性の手仕事だと何かが漂っております。
どこか落ち着いてしまうお部屋の佇まい、これも女性の設えがなせる技かもしれませんね。
こちらのお料理が好き過ぎて、お節の販売はしていないのかと尋ねました。
生憎お節料理は承っておりませんが、お正月料理として鮒料理を承っております、と。
来年のお正月、我が家は大和さんの鮒料理で新年を迎えます。
こうして有意義な奈良と京都の二日間を終え、帰宅後の楽しみは二日目の京都で買った味噌松風。
いつも“珠玉織姫”を買う京都の老舗和菓子屋さん“松屋藤兵衛”さんで、今回初めて松風を買って帰宅致しました。
箱を開けなくても香る甘い香りに気もそぞろ。
こちらの松風、ご近所の大徳寺さんの門前で作られていたという“大徳寺納豆”が生地に混ぜ込んであります。
ねっちりとした味噌松風の生地の中にちょっと塩気の効いた大徳寺納豆、そして香ばしい胡麻の風味。
もちろんいつもの珠玉織姫も調達。
お砂糖とニッキの風味のさざれ石も調達し、主人と私、すっかり松屋藤兵衛さんのファンです。
手前は奈良の三輪素麺、山本さんの“白髪”です。
お食事処で頂きすっかりこちらもファンになってしまいました。
来年取り寄せるお素麺はこちらの白髪に決定です。
一泊とは言え、旅を終えた後のお楽しみはお土産だけではありません。
我が家の恒例となりました、旅の後の在庫食材一掃週間がそれ。
帰宅途中でスーパーに寄ってお買物などしたくありませんもの。
翌日だって、お洗濯や着物の手入れ、お片付けでてんてこ舞い、お買物なんてイヤですわ。
・・・という訳で、食材調達をせずその週を乗り切るのも旅の後のお楽しみ。
そうは言ってもたかが一泊なので、多少は冷蔵庫に食材がありますからね。
出掛ける前に拵えておいたサンマの南蛮漬け。
- これ、イワシじゃないの、サンマなのです。
とてもお買い得なお値段だったので、規格外が何かのサンマの頭を落としてあるのでしょうね。
レモン汁とお酒をからめた後、米粉を薄くはたいて両面かりっと焼いて保存容器に移しましょう。
戻したひじき、ほぐしたマイタケ・千切り人参と生姜を軽くレンジで加熱し、熱々のところを甘酢で和えます。
市販の蒸し大豆も加えて絡め、サンマの上にたっぷりと。
帰宅直後の日本酒片手の反省会、旅行中にしっかりと甘酢がなじんだサンマが美味しゅうございました。
松屋藤兵衛さんの松風を朝食の小さなおやつに。
主人が淹れてくれるほうじ茶は、いつもの柳桜園さんで買ったばかりの開封したてのほうじ茶です。
土曜日限定の手炒り焙煎焙じ茶も、予約しておけば平日でも購入可能との知恵もつけて帰宅致しました。
僅かばかりではありますが増えた体重は早めにもとに戻しましょう。
鶏粥を主食に、あと二日間の在庫食材一掃週間を楽しみます。
もちろんお弁当だって在庫食材でどうにかこうにか賄います。
冷凍おからは常備してありますので、ベジミートそぼろを使ったおから寿司など。
酢の物の作り置き料理が多い我が家ですもの。
お買物を控えてもどうにかなってしまうのが現状です。
有意義な奈良と京都の二日間、備忘録はここまで。
紅葉柄の着物日傘は間もなく11月だとは言えまだまだ活躍してくれることでしょう。
そしてそろそろ、高揚して平日も手が伸びておりましたお酒をちょっと控えましょう。
・・・但し金曜日まで、ね。
明日からはいつものお料理備忘録へと戻ります。
在庫食材を駆使して、ですが。