今回の旅で主人が何より楽しみにしておりましたパリ観光の始まりです。
いえ、パリ観光を楽しみにしていたと申しますより、Citroën DS (シトロエン・DS) でパリ市街を軽く流してみたかった・・・この方が彼の心情的には正確でありましょう。 ル ブリストルに横付けされたシトロエン・DS。
ど根性で捜し当てた1972年製のシトロエンDS21に、主人早くも大興奮。
実は今回の旅行で、いちばん憂鬱だったのはこの観光。
パリ・シトロエン DS・和装、これが今回主人のささやかな希望だったらしいのですが折も折。
たたでさえスリ・強盗が多いと聞くフランス、日本人も容赦なく標的にすると断言するどこぞのテロリスト・・・(そうです、私の思考回路は相当基準を下回っております)
出来れば身元を隠したいというのに、この主人の無理なご要望と言ったら!
しかも、ドレスコードの定められた場所での和装ならばいざ知らず、パリ観光で・・・必要ですか?
シトロエン・DSの到着をホテルのロビーで待ちながら、往生際悪く腹痛まで訴える私を鼻で笑い・・・
主人待望のパリ観光、スタートです。
夏のパリ、当然シトロエン・DSにクーラーなどはございません。
DSの運転手 兼 ガイドは、普段建築デザイナーとしてご活躍の陽気な紳士。
失礼ながらお名前を忘れてしまいましたので、勝手にジョワイユ氏とお呼び致しましょう。 ジョワイユ氏がハンドルを握るシトロエン・DS。
パリに多い縁石にがんがん乗り上げたりして、意外と運転はお気楽ご気楽。
でもそこが反って彼のイメージにぴったり。
先ず彼が停まったのは、いかにもパリといった雰囲気漂う石畳のひろがる広場。
パレ・ロワイヤルに到着です。
ここで待っているから、自由に見学しておいでとジョワイユ氏。 重厚な石造りの入り口を通り抜けると、回廊に囲まれたパレ・ロワイヤルの中庭に出ます。
どぉしよう・・・着物なんて着てきてごめんなさい・・・なんて気持ち、この辺りから薄らいで参りました。
思いの外、周囲の皆様友好的に受け入れて下さいます。
広場には、ストライプ模様の作品で知られるDaniel Buren (ダニエル・ビュラン) のオブジェ。 お子達が遊んでおります。
円柱の広場を離れ、Galerie d'Orléans(ギャラリー・ドルレアン) と刻まれた石造りの回廊を奥に進むと、緑溢れる中庭へ。
噴水の周りには、のんびり読書をする人 ランチを楽しむ人・・・私好みのおっとりとした雰囲気。 おくつろぎ中の貫禄ある青年に声をかけ、噴水を背景に1枚。
『もっとくっつかないとダメだよ!』 と彼。位置をかえてもう1枚。
・・・パリ、怖くない。
要所要所で車を停めて充分な見学時間を設けてくれるジョワイユ氏。
そしてシトロエン・DSは何処に行っても人気者。
Rue des Barres(バール通り)、石畳が続く静かな通り。 シトロエン・DSを懐かしむ老夫婦、無邪気な子供たち。
ご自身のお人柄も加わり、ふたりで観光して車に戻ると必ず誰かとお話しているジョワイユ氏。
今回のパリ観光。
主人が秘かに楽しみにしておりましたのが、Musee Carnavalet (カルナヴァレ博物館) 。
観光マップにもそれ程には大きく取り上げられない、小じんまりとした博物館であります。
今回のジョワイユ氏のルートにも、当初は含まれておりませんでしたが連れていって頂きました。
当時の貴族の生活が垣間見られるパリ歴史博物館といった位置づけらしいカルナヴァレ博物館。
お嬢さんに宛てた美しい手紙から書簡作家とも評されるセヴィニエ侯爵夫人の住居でもあったそう。
そう、セヴィニエ侯爵夫人の芳名が出ましたところで・・・
主人のお目当ては、作家 マルセル・プルーストのお部屋。
何故だか彼のベッド脇には、プルーストの 『失われた時を求めて』 がいつも置いてあるのです。 ところがぎっちょん。
訪れた月曜日は休館日。
それを承知でジョワイユ氏に連れていってもらったカルナヴァレ博物館。
せめてかたく閉ざされた門の前でお写真だけでも撮っておきましょうね。 主人抜きでもう1枚。
パリに多数存在する博物館。
ガイドのジョワイユ氏も大好きだと太鼓判を押すカルナヴァレ博物館。
プルーストのお部屋は次のお楽しみと致しましょう。
パリで最も美しい公園の1つとされるヴォージュ広場。
その南西に隣接するHotel de Sully (シュリー館) がお次の停車場所。 重厚な石造りの壁面のレリーフと、中庭の妙に幾何学模様に切り込まれた生垣が不思議な空間。 本業は建築デザイナーのジョワイユ氏。
彼の観光スポットは、全てにおいてその建築物が目を引くところばかりなり。
単にアンティークとお呼びするにはあまりに重厚過ぎて忍びないドアノッカー。
何故か私はこの類のものに惹かれる傾向にあります。 2匹の蛇にへばりついて写真を撮っておりましたらば・・・
美しい老婦人がおひとり、お声をかけていらっしゃいました。
『おふたりのお写真をお撮りしましょうか?』 優しいフランス語寄りの英語。
和装を好意的に受け入れて下さった周囲の雰囲気にすっかり気を良くしておりました私。
天災は忘れた頃にやってくる・・・パリ怖い、スリ多い、鞄切られる、指輪詐欺、新手の詐欺・・・
私の中に潜んでおりました疑心暗鬼の念が蘇った瞬間であります。
googleさんも言っていたわ。
写真撮りましょうか?ご案内しましょうか?優しい言葉に乗って、後で泣くことも多々・・・だと。
このご婦人、こんなお美しいお優しい面持ちでお金を請求するのね!きっとそうね! 急に顔が険しくなった私に、主人が必死のフォロー。
『どぅみぃ (私のこと) 、違う!違うってば!!』
。。。ごめんなさい。
本当に善意でお声をかけて下さったご婦人でありました。
しかも別れ際に、 『 I am greatly honored to。。。』 のお言葉まで。
素敵な写真を撮ってくださったご婦人に向かい、一瞬とは言え疑いの念・きっとした鋭い視線。
優しい主人の口から、人間のクズとまで言わせた一幕でありました。ごめんなさい。
シトロエン・DSで流すパリ市街、殆ど歩かぬ美味しいとこ取りの観光もそろそろ終盤。
建築デザイナーのジョワイユ氏が停まった先はCathédrale Notre-Dame de Paris。
ノートルダム寺院であります。
意外と建築物・美術品の類には全くと言って良いほど興味を示さない主人。
パリ旅行が決まる前から、ノートルダムは見ておきたいものだとの私の言葉を思い出したようで、歩くことが何より嫌いな主人ではありますが、しぶしぶ付き合ってくれましたよ。 噂通りの人混み。
そぉか!こぉいった場所でスリに遭遇するのね! くわばらくわばら・・・(まだ懲りていない)
貫禄あるカップル (私が声をかけるのはこのタイプばかり) に写真をお願い。
何枚も何枚も出来るだけ建物の全景が写るよう試行錯誤して下さる彼。
勢いよく飲んでおりましたコーラのボトルを置いて奮闘して下さいました。
パリ、好き。
パリ、良い人ばかり。
ジョワイユ氏の3時間に及ぶパリ観光は、大満足のうちに終了。
翌日 (7月14日) に開催されるパリ祭の影響で、あちこち渋滞や交通規制が目立ちました。
エッフェル塔・ルーヴル美術館・凱旋門等々、渋滞が影響してちらりと車中から見るだけのスポットも多々ありましたが、ジョワイユ氏好みの建築物に偏った観光は最高に楽しゅうございました。
もちろん最後に主人、シトロエン・DSの運転席を乗っ取ってル ブリストル前の通りを滑走。 ・・・はもちろん不可。
素敵な3時間でありました。
クーラーのないシトロエン DS・和装で流すパリ観光。
私、パリが大好きになりました。 今度シトロエン DSをチャーターする時。
その時こそ、ジョワイユ氏のお名前をちゃんと確認致しましょう。
まだまだパリの日は高いのですが、時は夕刻。
残り半日となりましたパリの旅。
まだまだ貪欲に出歩きます。
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