軽いお昼を一緒に食べて彼を送り出した後、暇な土曜日 ことこと豆なんざ煮てみましたよ。 これね、『桑の木豆』 って豆なんです。以前からちょくちょく登場しているインゲン豆の仲間。
伯母が住む根尾近く 岐阜市の北に位置する山県市(旧美山町) の地方野菜。若いうちは莢ごと食用にし、完熟して赤い絣模様が入る頃になると保存用として莢ごと乾燥させます。そして乾燥したものは莢ごと戻して食用にするというちょっと珍しい食べ方をする豆なんです。
伯母は、この完熟して乾燥させた 『桑の木豆』 の莢が嫌いなんですって。
なので、大豆みたく中の豆を取り出したものを冷凍しておいてくれるんです。
先日遊びに行った時、それはそれは美味しい 『桑の木豆の甘煮』 を出してくれましたよ。
伯母の煮豆はとっても美味しいの。やわらかいばかりじゃなくて 味がしっかりしみているのに程良い食感を残した食べ心地・・・これは作り方を教わらねば!
以前撃沈したウズラ豆・・・同じ失敗をせぬよう、メモを手に土曜の昼下がり豆に挑みましたよ。
ふっ、伯母の桑の木豆に近づいたわね。ふっくら美味しく煮上がりましたよ。
これがその桑の木豆。乾燥させたものを伯母が冷凍しておいてくれたもの。見比べれば、なるほどウズラ豆との違いは一目瞭然ですが・・・
別々に見たら見分けられないや、私には。豆って奥が深いのよね。
【下準備】
- 桑の木豆は、大きめのお鍋に入れてたっぷりのお水に一晩浸けておきます。
今回は桑の木豆200グラム。ひと晩するとお水を吸収して倍程の大きさに。
【保存版 伯母のレシピ】
- ふっくら戻したした桑の木豆。浸け水ごと中火にかけて沸騰させます。この時お水の量は、桑の木豆の上 1センチ程の状態に。煮立ったらコップ1杯の冷水を加え、アクをすくいながら再度煮立てます。所謂 “びっくり水” ってやつですね。
- 再度煮立ったら弱火にしてことことことこと煮ます。この時重要なのは かき混ぜないこと。ことことお鍋が微笑むくらいの火加減でゆっくり煮てあげましょう。
- 30分もすると煮汁が減り、右のようなひたひた状態に。この辺りでお砂糖 120グラムを加えます。この時もかき混ぜないで、お鍋をゆっくり回すようにしながらお砂糖を煮溶かします。再度煮立ったら薄口醤油小さじ1を加え、お鍋をひと回しして火を止めます。
- そのまま蓋をしないで煮汁に浸けた状態で冷まし、桑の木豆に煮汁を充分吸収させてあげましょう。ほらほら見て見て!ふっくらと見目麗しく煮上がりましたよ。
- 伯母曰く、煮汁がなくなるまで煮ちゃいけないんだそう。火を止めてそのまま冷まし、煮汁を吸収させることでふっくら美味しく仕上げるのだとか、なるほど、道理だわ。
知れば知るほどその奥深さに閉口してしまう・・・そんなことってよくありますよね。
私にとってその対象なのが 『豆』 なのです。 “これ、同じ豆じゃないの?”って物でも地方によって呼び方が違ったり、収穫する時期によって呼び方はおろか全く別の調理方法になったり、ひと晩お水に浸けてから煮る豆 すぐ煮てもOKな豆、茹でこぼす豆 茹でこぼすと崩れてしまう豆・・・全く訳が分かりません。
伯母も言います。豆を煮るのは難しいんだよ、と。
でもね、伯母が煮た豆はどれもこれも美味しいの。レシピ本を見るでもなし、特別なことをしているワケでもなし、普通に煮ているだけなんだよって伯母はさらりと言い放ちます。
高校の時に習った徒然草。 “一道に携はる人” だっけな?偉大な人を見るとこの一節を思い出します。煮豆と一緒にされちゃぁ、さすがの兼好くんも黙っちゃいないだろうけどね。