近頃、主人のお気に入りのお店は、地元でも京都でも、ましてや海外でもなくお隣の愛知県。
愛知県は北西部、名古屋のベッドタウンとしても名高い春日井市にあります『和食の日比野さん』です。
秋も深まる先週の金曜日、主人待望の『晩秋の鱧』を頂きに参りました。
日比野さんの鱧懐石コース、いえ、晩秋の鱧、鱧づくしの始まりです。
先ずはノンアルコールビールで逸る心を静めましょう。
木の蓋を開けると秋真っ盛り。
前菜から鱧づくしです。
夏の名残り、子持ち鮎の山椒煮が秋を更に深めます。
南蛮漬けに添えられた色鮮やかな食用菊、『もって菊』とか『もってのほか』なんて愛称で親しまれているのですって。
Googleさんで調べてみると、正式名称は『延命楽』なんてありがたいお名前の持ち主。
日比野さん、お料理は言うまでもなく接客係さんのお話も楽しいのです。
鱧の子にそっと添えられた松葉は、ほんのりお塩の効いた茶そば。
美味しい。
お出汁を存分にまとった大根の上に鱧。
鱧のおとしと焼き霜。
鱧の源平焼き。
同じ食材で2通りの焼きをご披露するお料理をこう呼ぶのですって。
晩秋の鱧は肉厚でふわふわです。
松茸を鱧でくるりと巻いて。
稲穂の白く弾けたお米、日本酒があればこれを摘まみながらいつまででもちまちま飲んでいられそう。
焼いた鱧の骨でお出汁をとった鱧しゃぶ。
お部屋中がお出汁の良い香りに満ち満ちております。
ご主人自ら美しく盛り付けて下さいました。
鱧の肝、鱧の浮袋、初めての部位の美味しさに目尻も頬も下がります。
おかわり。
折角なので梅ポン酢も使いたいと思いつつ、鱧の骨のお出汁はそれだけで十二分の美味しさ。
鱧茶漬けか雑炊か。
散々迷って、お部屋に満ちたお出汁の香りには勝てず。
雑炊を選びました。
そしてこの選択は正しかったと実感。
帰りの道中、経った今頂いた日比野さんの鱧懐石のお話で持ち切り。
お漬物まで美味しい鱧懐石の幕引きです。
いえ、日比野さんは最後の最後、デザートまで裏切ることはありません。
洋梨とイチジクのコンポート。
すっきりとした甘さが美しく食材を包んでおります。
当然お家で、素人にこの味は出せませんので、せめてものお近づきの念を込めてデザート用カトラリーを、おそらくこれだろう、同じものだろうというものを検索して購入致しました。
ちょっと肌寒い晩秋の風。
車の窓を少し空けて、少し遠回りしながら帰途につきました。
次回お邪魔するのはお節料理の受け取りに。
日比野さんのお節とからすみ、そしてこの時ばかりは日本酒を添えて新年を迎えるのです。