いわゆるウィンドウショッピングが楽しめます。
盛夏に到着予定の“だだちゃ豆”に先駆けて届いたのは、静岡県からやってきた茄子。
ちょっと特別な茄子のようですよ。
この、しみず特産『折戸なす』で、ふと思いついた柴漬けを拵えてみました。
『折戸なす』
大変由緒ある茄子のようで、かの徳川家康公にも献上され「一富士、二鷹、三茄子」の茄子はこの折戸なすのことだとか。
ソフトボールサイズといった大きさのコロンっとした艶々の茄子がお行儀11個。
いちどは栽培が途絶えたものの、国の研究機関から譲り受けた種子により復活を果たし今の出荷に至ったという待望の折戸なす。
原種に近い性質上、棘が鋭いのも特徴のひとつなのだそう。
もちろん茄子としては少々お値も張るのですが、それでもこのひと箱で我が家はどれだけ楽しんだかを考えると大変効率的かと存じます。
先ずは届いた段ボールの箱をそっと開け、艶やかな正に茄子紺に大興奮。
形を揃えるのが難儀なのも特徴らしいのですが、まぁかくもお行儀よく整列して。
何にしても美味しいとのことですが、そもそも主人が折戸なすを取り寄せたのは“茄子の塩もみ”が食べたかったから、そのことをふと思い出しました。
ならば基本塩もみで、そうお料理の方向性が決まった時にふと思いつきました。
柴漬けなんてどうかしら。
昨年、いえ、一昨年漬けた梅干しがまだ沢山残っているもの、その赤紫蘇と漬け汁を有効利用した柴漬けなんて。
なんて言う、いつもの貧乏性から生まれた折戸なすの柴漬け。
これがとても美味しいのです。
思えば本格的な柴漬けなんて食べたことがないので、先入観なくこの簡略版柴漬けを受け入れられるだけかもしれません。
ですが美味しいものは美味しい。
そう、これからの季節にぴったりな折戸なすの柴漬け。
梅干しと一緒に漬けた赤紫蘇、その新しい有効利用も兼ねた、我が家の夏定番の味になりそうです。
◆材料
- 折戸なす 2.5個分(他の野菜と合わせ正味704グラムでした)
- ズッキーニ 1本
- 茗荷 2個
- 塩漬け用のお塩 14g(野菜の正味分量の約2%)
- 梅干しの漬け汁と赤紫蘇 適量
- 生砂糖 大さじ1程度
※キュウリを使うのが一般的なのでしょうが在庫がなく、そこはあっさりズッキーニで代用。ズッキーニの柴漬け、お勧めです。
◆作り方
- 折戸なすは鉛筆を削るようにヘタを落とし、先ずは縦に8等分。
更にそれを斜めに3等分にします。
ズッキーニは5〜6cm長さに切った後、縦2等分して斜め切りに。
茗荷は縦4等分にします。
ビニール袋に合わせて分量のお塩をすり込み、軽く揉んでからビニール袋内の空気を出来るだけ抜いて縛ります。
重石をして半日置きましょう。
重石は1キロを使用しました。 - 半日経つとしっかり水気が出ます。
手でぎゅっと水を絞り、新しいビニール袋に移しましょう。
梅干しの瓶から漬け汁と赤紫蘇、特に赤紫蘇を多めに取り出してここに加えて軽く揉みます。
これだけだとお塩が過ぎますので生砂糖も。
個人的にはもう少しお砂糖を増やしても良かったかしら。
再度重石をして半日。 - はい、簡略版ではありますが折戸なすの柴漬けの出来上がり。
後は冷蔵庫で保存します。
今週末頃になると乳酸発酵が進んだ更に私好みの味になることでしょう。
・・・それまで残っていればのお話ですが。
折角の折戸なす、もちろんお漬物ばかりで満足は致しません。
肉質が兎にも角にも筋肉質、密な折戸なすは煮物にしても抜群の美味しさです。
圧力鍋で半身のまま煮る茄子は我が家の定番。
とろッととろけるいつもの茄子の食感も良いけれど、折戸なすは煮てもその食感の違いが歴然、そう、煮ても密です。
そして茄子の浅漬けも外せません。
折戸なすの煮物。
茄子と油が好相性なのは重々承知の助ですが、揚げびたしや焼きびたしも含め、冷やした時の目に見える油に躊躇するのもまた事実。
出来るだけあっさりと、折戸なすの魅力を出来るだけ活かした茄子の煮物。
ヘタを落として半分に切った折戸なすに細かな切れ目を入れたら、ビニール袋に入れて胡麻油を揉み込みます。
これを干しシイタケとカツオのお出汁、お酒、みりん、白だし醤油等を合わせた煮汁を煮立てた中に加えて煮ます。
圧力鍋なら加圧すること2〜3分。
折戸なすの浅漬け。
ヘタを取って縦半分に切った茄子をビニール袋に移し、お水 200t・お酢 大さじ1・お塩 小さじ1・昆布と唐辛子を各適量。
軽く揉み込んだらビニール袋内の空気を抜いて縛り、保存容器に入れて冷蔵庫へ。
みょうばんを使わないので色は悪くなりますが、ぎゅっと筋肉質な茄子の浅漬け夏の味。
食べる直前に薄切りにし、おろし生姜をそっと添えて召し上がれ。
圧力鍋を使った折戸なすの姿煮は、干したホタルイカver.も。
折戸なすの柴漬けは今日のお昼ご飯にも登場しました。
ふわりと握った小ぶりな三角お結びに大葉を巻いて、小ぶりに切った柴漬けを添えます。
苦し紛れのお菜は、アジフライの生春巻き。
冷凍アジフライに胡麻油をなじませグリルパンで焼き、玉ねぎたっぷりのタルタルソース、青紫蘇、セミドライミニトマト、アボカド等と一緒にライスペーパーで巻きます。
折戸なすの浅漬けが乳酸発酵するまで維持できますように。
今朝の食卓は茄子多め。
お味噌汁の茄子は一般的な茄子ですが、うーん、これはこれでやっぱり美味しい。
お菜が多いので、今朝のお魚は小ぶりなハタハタ。
先ほど帰宅した主人が、開口いちばんこう言いました。
『やっぱり今日は飲みますよ』と。
金曜を除く平日は飲まない、そんな案はあっさり棄却されたようです。
今日の日本酒のお供は折戸なす。
ならば早々に主人の仕事部屋を明け渡しましょう。